麒麟麦酒 一番搾り生ビール【ビアログ036】

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私的分類「バランス」
うまみ■■■□□3
苦味■■□□□2
甘味■■□□□2
ホップ香■■□□□2
炭酸■■■□□3
透明・金色
度数 5.0%
原材料 麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ
合う料理天ぷら
IBU

 本格的な味わいでありながら、毎日のよろこびとなるような、日常的なビールを目指して。

 「お客様のために、本当においしいビールを、次の時代の本流となるようなビールをつくりたい。」

 そんな醸造家の情熱と探究心から、一番搾りは生まれました。

https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/ichiban/

感想

 秋味キリンラガービールの1.3倍の麦芽なら、この一番搾りは1.5倍です。そして一番搾りには米、コーン、スターチという副原料が入っていません。この2つの特徴は互いに関係がありそうです。

 ビールは、大麦のでんぷんを大麦(麦芽)自身の酵素(アミラーゼ)で分解してオリゴ糖や麦芽糖などの糖分を作り、さらにそれを酵母で発酵させてアルコールや炭酸ガスを発生させることで作られます。

 米・コーン・スターチは大麦と同様、でんぷんの源です。ただし、同じでんぷんでも大麦よりもスッキリした味が出るそうです。裏を返せばコクが弱まるということでしょう。コーンはともかく米は精米されたものだろうし、スターチはでんぷんそのものですから、ビールのコクは、でんぷん以外(殼皮など)から生まれるのかもしれません。

 米・コーン・スターチはキリンラガーだけでなく、アサヒスーパードライとかサッポロ黒ラベルとか、他のメーカーの主力ビールでも使われています。日本ではやはりスッキリ、キレのよいビールが好まれるのですね。

 米・コーン・スターチを使わない分、でんぷん源として1.5倍の麦芽が必要となった、という単純な話に思われますが、殻皮の比率も増えるのでそのまま作ったのでは日本人好みのスッキリ味にならないはず。それを解決したのが「一番搾り製法」なのでしょう。

 水に浸して発芽させた大麦(麦芽)は、熱風で乾燥(焙燥)された後、粉砕され、アミラーゼによりでんぷんを糖分に分解するため、温水で茹でられます。それが「もろみ」。

 もろみには大麦の殻皮などの固形物が含まれるので、これをろ過したものが「一番麦汁」や「第一麦汁」と呼ばれるもの。この一番麦汁だけを使うのが「一番搾り製法」。

 一番麦汁を濾した後のもろみに温水を加えてさらにろ過したものが「二番麦汁」(第二麦汁)。一番出汁と二番出汁の関係と同じですね。一般的なビールでは一番麦汁に加え二番麦汁も使用されます。

 CMでもおなじみですが、一番麦汁のほうが明らかに色が濃くて旨そうです。じゃあ、二番麦汁は搾りカスから無理矢理抽出したエキスであり、まがい物なのかというと、そうではありません。大麦の殻皮由来のポリフェノールなどが豊富で、コクが出るそうです。前述した「ビールのコクは殻皮などから生まれるのかも」と符合します。そして、ここも一番出汁と二番出汁の関係と同じで面白いですね。スッキリ繊細な一番と、コクと力強さの二番。麦芽が多くても、一番だけ使うならスッキリでいられるということです。

 まとめると、一番搾りは米・コーン・スターチを使わないけど、一番麦汁しか使わないから、日本人の好きなスッキリとキレの良い味に仕上がっているということですね。

 やっとこさ感想ですが、バランスの良さはキリンラガーを踏襲しています。ただ、甘味の幅が広くてまろやかです。そして旨味が後を引きますがクドくはありません。苦味は同等で炭酸はわずかに強く感じます。キリンラガーよりリッチでありながら、幅広い料理に合いそうです。これは製造者が目指しているという「本格的な味わいでありながら、日常的なビール」を正しく実現しています。

 苦味が穏やかでリッチなビールには塩味です。炭酸は強めに感じたので揚げ物で。洋食・中華より和食と思いますので、天ぷらを推しています。新鮮なキスとかアスパラガスの天ぷらがあれば幸せでしょうね~。

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