100kmウォーキングイベントに参加し、文字通りの死にもの狂いで完歩しました。
同様のイベントに参加する方への参考までに色々書き残しておきます。もちろん、大会によって内容は異なるかもしれませんので悪しからず。
私のスペック
- 中肉中背の中年
- 運動習慣なし
- 仕事でほぼ毎日一万歩
- 100kmウォーキング初参加
以上の前提で読み進めて下さい。
大会概要
大阪の名所を巡る100km強の行程。天満橋を出て時計回りに南は仁徳天皇陵、北は万博記念公園を通り天満橋に帰ってくるルートでした。
概ね10〜20kmごとにエイド(軽食がもらえる休憩所)が設けられていました。
意外
いきなりですが私にとって意外だったことを書いておきます。
意外① 寝れると思ってた。
人の歩く速度は時速4km程度。100km歩くなら25時間かかります。フツーどこかで一泊すると思いません?しないんだなコレが。
ただの徹夜でもしんどいのにロクな休息もとらずに(後述)歩き通します。この設定から、このイベントが運動啓発的な生優しいものではないことに気付くべきでしたね。
意外② 時間制限がある。
スタッフの拘束時間とか行政への届出とかを考えれば当然と言えば当然ですね。ただその時間制限が思ったよりシビアだったのです。
それは「第5エイド(約80km地点)を21.5時間で通過する」というもの。たぶん以下の条件での設定でしょう。
- 途中の4つのエイドで20分ずつ休憩
- 時速4km
時速4kmなんて大したことないと思えますが、それを約20時間継続するとなると話が変わってきます。ロクに訓練していない人間には十分に脅威となる関門です。
そしてゴールの制限時間は29時間。私は28時間でギリギリでした。
意外③ 足が痛い。
マメさえできなければ最後まで普通に歩けると思っていましたが、踵(かかと)が着地の衝撃の蓄積で痛み、脹脛(ふくらはぎ)と土踏まずの筋肉疲労で地面を蹴れなくなりました。
間違いなく人生最悪の足の痛みでした。30kmで(早)肉体的にも精神的にも限界でしたね。後半は時速4kmを下回っていたかもしれません。
ちなみに万歩計の記録では15万歩でした。普段なら2万歩でもけっこう歩いたな〜という感じなので、そりゃ足も痛くなります。
意外④ 休憩してられない。
前述のとおり休憩時間は20分想定です。この20分で以下をこなさなければならないので、意外と息つく暇もありません。
- 軽食を食べる
- トイレ
- 飲み物等の補充
- 足のメンテ(後述)
後半は痛みに耐えかねてエイド間の中間で5分ほどの小休止を入れていました。とても10〜20kmを一気に歩くコンディションではありませんでしたね。20分くらいの休憩時間では痛みとか疲労で動けなくなることはなかったです。
装備と持ち物
あってよかった
第1位:鎮痛剤
いくら過酷と言ってもあくまでウォーキングですので、心肺面でのしんどさはランニングほどではありません。私のような素人でも、痛みさえなければゴールは十分に可能です。
私は風邪の解熱剤として処方されたカロナールを4錠も持っていましたが、足りませんでした。
50kmを超えたくらいから痛みに耐えかねて飲み始めました。初めは10km(2時間)くらい効き目がありましたが、2錠目以降は5kmくらいしか効かなくなりました。体が慣れてしまうのか、単純に痛みが増大したのかはわかりません。
ただ、80km以降は痛みが頭打ちしました。歩き方が最適化されたのか、これ以上破壊される部位がなくなっただけなのかは、これまたわかりませんが。
ちなみに鎮痛剤を飲んでも、歩いている以上、痛みが消えるわけではありません。痛みを客観視できるようになるだけです。
カロナールは1日4000mgが上限で、本来なら4〜6時間の服用間隔を空ける必要があるそうなのでご注意を。
私は塗り薬(ボルタレンゲル)も併用していました。前述した「足のメンテ」とはこのことです。靴と靴下を脱ぎ、ゲルを塗ってマッサージ。25gのゲルを使い切りました。微妙に足りませんでした。
第2位:肩紐に水筒を入れられるリュック
20時間を超える長丁場です。水分補給の度にリュックを下ろす労力とストレスは侮れません。私は思い切ってストローの長いソフトフラスクまで買ったので、ノーモーションで飲めてストレスフリーでした。リュックもフラスクもこの先使うアテがないんですけどね!
私が使ったのは箱根駅伝の選手が推奨してるやつです。容量10リットルでちょうどくらいでしたが、ちょうど過ぎると中身が探しにくいし出しにくいです。防寒着を抜けば本当の意味でのちょうどだったかも。
第3位:日焼け対策一式
- ハット(全周つばの帽子)
- サングラス
- アームカバー
- 日焼け止め
日焼けが体力を奪うと聞き、念入りに対策しました。やはりキャップよりハットですね。真正面以外の角度からの日光も遮ってくれますから。
そして初体験のサングラス。外界との間に膜ができたような不思議な安心感がありました。眩しさに顔をしかめる必要もないし、大活躍でした。
ただしこれらは夜間には完全なお荷物ですので、軽量コンパクトなものにしましょう。
第4位:長めのタオル
日焼け止めの一環で首に巻いていましたが意外な用途が。後半は腕が重くて肩がダルくてしょうがなかったのですが、首にかけたタオルの両端を握ることで腕の重量をあずけることができたし、ストレッチにも使えました。おすすめ。
第5位:しょっぱいカリカリしたおやつ
私が、疲れると甘味より塩味を欲するタチというのもありますが、ドリンクをちびちび飲んでいると甘味に飽きてくるもので。私はポリッピーを持っていきました。カリカリと小気味良い歯応えもリフレッシュになりましたね。フリスクもあれば良かったかも。
番外編
道中、買い物に寄るのは自由ですので、コンビニ等で売っているものは無理して持参しなくてよいです。私は水を買ってはアミノ酸粉末とともにフラスクに詰め直していました(けっこう面倒)。モバイルバッテリーは必要になったら買う方針でも良いと思います。
いらなかった
第1位:デカいライト
これはコースにもよりますが、今回は市街地ばかり歩くので、足元を照らす必要はなく、自分の存在を示せる最低限の明るさのもので大丈夫でした。軽さは正義。
第2位: 防寒着
もちろん気温と体質によります。今回は最低気温が16度でした。20分ほどのエイド以外は歩きっぱなしですので、歩いていて寒くなければ不要かと。本番の服装で何度まで耐えられるかを事前に把握しておくと良いでしょう。雨具も天気予報を見て取捨選択。
第3位:モバイルバッテリー
スマホでどんなアプリを動かしながら歩くかによります。私はGoogleマップと、写真を頻繁に撮るくらいでしたが不要でした。安心感は間違いなくあるんですが重いですよね…。
装備
上から順に。
- ハット(UVカット仕様)
- サングラス
- 長めのタオル
- エアリズム半袖Tシャツ
- エアリズム長袖パーカー
- アームカバー
- 腕時計
- コンプレッションタイツ(ミズノの安いやつ)
- ハーフパンツ
- 五本指ソックス(3足1,500円)
- ウォーキングシューズ
持ち物
10Lリュック
- ソフトフラスク×2(アミノ酸ドリンク)
- モバイルバッテリー
- 懐中電灯
- 皮膚摩擦防止剤(プロテクトS1)
- 鎮痛剤(錠剤と軟膏)
- 日焼け止め
- エイドセット
- アミノバイタルGOLD
- アミノ酸ドリンク粉末
- 着替え(靴下とTシャツ)
- ウルトラライトダウン
-
ポリッピー等お菓子
ウエストポーチ
- 財布(現金と保険証)
ポケット
- ハンカチ
- 流せるティッシュ
やっててよかった
翌日の休暇申請
翌日はふくらはぎと足の裏が痛くてまともに歩けませんでした。それ以前に帰宅してから20時間くらい寝てました。とにかく仕事になりません。余程の自信がない限り休みを取っておきましょう。
やっときゃよかった
靴を慣らす
私はこの大会のためにウォーキングシューズを買いましたが、アホなことに初めて履いたのが大会当日でした。靴の中が滑ってかなりロスしました。靴紐をきつく縛ってなんとかするしかありませんでした。
本番の靴下で靴を試着して選び、一か月前には履いて長距離を歩いてみるべきでしたね。
歩いたことのない距離を歩いてみる
私は大会以前にはおそらく最長でも25kmくらいしか歩いたことがなかったので、30km地点での足の痛さに「これ無理じゃね?」となりました。倍以上の距離が残っているのですから。
事前に30km歩いたところで航続距離が伸びるわけではないでしょうが、心構えはできたはず。また、本番どおりの場所で休憩を入れて、何をするのか、どれくらい回復するのかを把握するのも有効です。持ち物、装備品は本番通りのもので。重さ、有効性、必要数量を確認しましょう。
実際のルートを100km歩くのがベストでしょうが、大会でもないのにそれだけ歩くのはかなりの根性が要りますので、せめて「第一段階の限界」を知っておけば良かったな、と思いました。
感想
参加して良かったか、と問われると「正直微妙〜」といったところ。私のような素人には、歯応えもありつつ楽しめる距離はせいぜい50kmですね。後半は単なる我慢大会でした。ゴール後に友人と感想を語る余裕もなく即座に解散したくらいですから(笑)。
友人がいると励まし合える、というより「先に音を上げてなるものか」という妙な牽制が入り頑張れます。だからガチ勢でもない人がひとりでボロボロになりながらもゴールしているのを見ると純粋に凄いと思います。
話が逸れましたが、サバイバル的に「あれくらいのダメージを覚悟すれば100km歩ける」という目安ができるのは価値があると思います。自宅から勤務地まで25kmほどですが、今では「屁でもねぇ」という認識です。橋でも落ちない限り帰宅困難になることはないでしょうね。
こんな感じで、困難に対する耐性って、一度バグらせておくとその後で「アレに比べればマシ」となって色々捗りますので、若い人ほどオススメかもしれない。時間も体力もありますしね。
色々書いてきましたが、参考となれば幸いです。